おすすめ映画レビュー

ネタバレなし/ただの恋愛映画じゃない「天気の子」新海誠監督

作者のメッセージ

気象・天気=人間が及ばない力

雨が降り止まず沈む東京=現代社会が下降低迷していく様子

社会のために自分を犠牲にするのか、自分の意志を尊重するのか

 

物語を読み込むヒント

もう一つ描きたいと考えたのが、世の中の憂鬱から目をそらそうとしている若い男女が、自由な場所へ向かう姿。生まれたのが「窮屈な今から外に出たがっている少年」という帆高(ほだか)のキャラクターだ。物語はあくまでも少年少女の物語だが、社会との衝突を表すアイテムとして、拳銃も登場する。

サンスポインタビュー記事より

主人公の帆高は、予告にもありましたが『Cather in the Rye(ライ麦畑でつかまえて)』小説を読んでいます。

小説の内容は、社会や大人の理不尽さに窮屈さと嫌気が差した男子高校生が主人公で、終始鬱屈さ満開のお話しです。

劇中で帆高の背景は描かれない替わりに冒頭に小説を持っている=人物の性格や特徴を示していると考えて間違い無いでしょう。

 

 

 

「食事のシーンが魅力的に描かれている作品はたくさんありますが、なかでも宮崎駿監督の『ルパン三世 カリオストロの城』の食事シーンが忘れられないです。あの作品で、カリオストロ伯爵がゆで卵をスプーンで食べるシーンがあって、そのあとのシーンで、銭形警部がカップ麺をすすっているのですが、カップ麺の方が美味しそうなんですね。いつどこで、どんな状況でものを食べるかで意味が変わってくる。それだけ映像のなかの食事シーンというのは魅力的な描写だと思うんです」

シネマトゥデイインタビュー記事より

予告編で映ってるのは、路上カロリーメイトや満喫カップラーメン。劇中で他にも食事のシーンが出てきます。

日常でもそうですよね。
電車の中でカツサンドを頬張ってる女性や、駅のホームでおにぎりを食べるおじさんがいました。

何を、誰と、どんなところで食べているのかでその人物の背景を間接的に表現できる

 

 

・主人公らと親しくなる大人は会社員ではなく、どこか大人になりきれないオトナ。職業が現実に存在するか曖昧なものを扱う=?

・舞台の新宿(歌舞伎町・西口)は猥雑で欲がまみれたところ。そんな場所で働くヒロインや彷徨う少年。

そんな少年少女が社会の中で、と知り合い事件にどう対処し、どんな生き方を見出していくのか。

 

映画の楽しみ方を知って心豊かになりましょう

tenkinoko

・どうしようもない社会が沈んでいく様子=雨が美しい画で表現されている儚さ。

・社会で生き抜く手段を持たない少年少女が、どうしようもない状況下で考え、選択し行動するのか。

 

前作「君の名は」の登場人物が出てくるところもファンなら嬉しいところ。前作を好きな層を画面の前に引っ張りつつ、魅了する美しい描写と監督のメッセージが両立した希望のあるドラマになっていると思います。

今の猥雑・複雑な世の中で、あなたはどう生きますか?

 

私はスカイダイビングをした時、地上を俯瞰した景色を見て思ったことがあります。
家、ビル、田んぼ、林、整備された区画や遠くに見える高い建造物…地球からしたらちっぽけな存在なのに、日々「誰かに認められたい。成し遂げたい」「みんながやってるから、そうした方が良いから」とか、曖昧でちっぽけなことに囚われて自分を見失うくらい頑張ってた自分って馬鹿だなぁ。もっと力抜いて生きれば良いのになぁ…。
と、物事を見る視点の狭さに物理的な刺激によって気づかされました。

 

この作品は画面の前で映像を観るだけで、何か価値観や自分の琴線に触れることができる内容がある地に足のついたファンタジーです。

 

  
 
 

ABOUT ME
eri
月20本前後の映画(DVD)を観ています。 つかこうへい・山田洋次監督・岩井俊二監督作品が好き。