【ネタバレなし映画レビュー】「オトナってズルいよな」そんな人間臭さが絶妙「裏切りの街」三浦大輔監督

2019年9月5日

子供の時に思ったことありませんか?
そしてきっと、そんなオトナになっていると感じる自分。

ただの不倫ドラマではない

三浦大輔監督が舞台の戯曲として書き下ろし上演されたものを、dTVでドラマ化。
ドラマとは異なる編集を行った劇場版。

同棲している彼女からからお金をもらい、堕落した生活を送っているフリーターの裕一(池松壮亮)。
夫に大切にされ一見幸せな専業主婦の智子(寺島しのぶ)が出会い系サイトを通じて出会います。
繰り返し合うようになり、それまでの日常が崩れていく。何気無いやりとりに隠された人間の様々な感情が映し出されていく様を描いた作品。


脚本・監督 三浦大輔(娼年・何者・愛の渦など)
キャスト 池松壮亮 寺島しのぶ 平田満 ほか
劇中音楽 銀杏BOYZ
公開 2016年 132分 R15

『作品としての完成度』という物差しで表すなら『素晴らしい』

三浦大輔監督の映画は「何者」「恋の渦」を観たことがありますが、どちらの作品も引きずり込まれます。

人が感じ・思い・行動する感情の移り変わりにフォーカスし、『人間の内情』を繊細に、ありのままスクリーンに映し出しています。

『窮屈な幸せ』『うっとおしい日常』
かと言って今の安定した生活を辞める気はない。
人間は新しいことに挑戦する時に、手間やネガティブなことを考えてなかなか行動できない。
不満やストレスを手の届く範囲で対処しがちで、根本的な解決には繋がっていないのです。

三大欲求の『食欲・睡眠欲・性欲』
ニンゲンの生命活動につながる欲求。この作品ではその存在を大きく感じ、ただの恋愛模様を描いている作品ではないと感じました。

これらが実に生々しいです。私たちが思っていても、普段は見せずに生きています。
嫌だ・汚いと嫌悪感を持つ人もいると思います。
そうだと思います。私もまず、複雑な気持ちになります。
インパクトがあるわけでもないのに「うおぉ…」と、映像でそこまで他人の心に影響を及ぼせる『リアルさ』が本当に秀逸だと思います。

誰しも持っていることだからこそ、登場人物の気持ちがわからないことがない、自分のように感じて釘付けになる。
人と人の間にあるもの、現代社会の日の当たらない部分。犯罪ではないけど、安定と欲求、現実と夢の狭間に生まれるものみたいな。
あられもなく映し出せるのに無法地帯じゃない。映画作品として整っている。それが三浦大輔さんの作品の魅力です。

「観てよかった」「感動した」とはならないテイストですが、自分の内なる欲求や声に気づいたり、なにか向き合う時間になるかもしれません。
一歩引いて楽しむのもアリ。あなたの見方があります。ただし、キレイな作品を観たい人は合いません。

心掴まれた度 3/3 エンドロール後も本編あるので忘れずに。

合わせて観たい

何者】三浦大輔監督
音楽が中田ヤスタカさん。就活生です。同じリアルですがこちらの方がライトで見やすいです。
三浦監督作品を初めて見る方、まだ見たことない方はぜひ。

娼年】三浦大輔監督
同監督作品の中で一番好きな作品。
歌舞伎町を歩くんだけど、喧騒が聞こえず楽しめる感覚。

運が良けりゃ】山田洋次監督
時代も設定もテイストも全く違いますが、同じ「人のリアルな感情模様」を映しています。
嫌な気持ちになることはないでしょう。
「運が良けりゃ」のブログ記事